糖尿病の境界型とは、空腹時血糖値は通常値の「糖尿病予備軍」の事だ
「境界型」、所謂「糖尿病予備軍」の血糖値の数値は、空腹時血糖値が110~126mg/dℓ未満、75g糖負荷試験(食後2時間血糖値)の値が140~200mg/dℓ未満だ。血糖値がこの範囲内であれば、まだ、糖尿病ではないので「糖尿病予備軍」、または「境界型」に分類される。ただし、この「境界型」との呼称は、日本国内だけで通用する表現で、WHOが定める「耐糖能障害」という呼称が世界標準の正式名称だ。「境界型」とは言え、実はこの段階からすでに、大血管障害は発症し始めている事が、世界各地の疫学的研究で明らかになって来ており、適切な治療を行わないと、行く行くは大変な事になるのだ。
「境界型」と診断された人で、女性の7割強、男性の約5割は、10年以内に糖尿病を罹患したと言うデータがある。このように、「境界型」は「糖尿病予備軍」などと軽視出来る状態ではない。「糖尿病軽度」と呼称するか、WHOの規定する「耐糖能障害」と言うべきだろう。「境界型」ではなく、糖尿病に罹患していると診断するべきだろう。そうすれば、言われた本人も、自身の症状の重篤さに気付き、予防を始めるだろう。その結果、糖尿病に罹患せず、健常者に留まる事が可能となるのだ。
それでは「境界型」の人は、具体的にはどうすれば良いのか。「境界型」の人は、自身が糖尿病軽度の患者であると認識し、まず、過食を避け肥満に注意する、カロリーコントロールに気を配り、食事療法を始める事だ。加えて適度な運動を行う、過度の飲酒をひかえる、禁煙するなど、生活習慣を是正し、血糖値を正常値に下げる事が何よりも肝要だ。